創設者たちが理想としたもの
釣り人が発言できる時代を作る


(一社)全日本釣り団体協議会(ぜんつりきょう)は、昭和46(1971)年に水産庁を主務官庁として発足した我が国ただ一つの、釣り人の意見を行政に伝えるための公益法人です。
下記の項目は(一社)全日本釣り団体協議会設立当時、歴代の副会長から聞かされ、語り継がれてきた全釣り協の理念です。


  釣り人は、法の中で位置付けられた存在ではない。しかし、人々が野や山や海辺を歩くことに何の制限をうけることがないのと同様に、海や川で魚を捕らえて食べるのは、狩猟採取の時代からだれもに認められていた、生存のための権利であり、自由である。

  ところが、釣り人が法の中に登場するのは、各都道府県の漁業調整規則(海面)の中で「非漁民」として取り扱われている。内水面では、遊漁料金を徴収するために「遊漁者」として取り扱われているが、魚や自然環境を含むすべての場で“発言のできる位置にはない”のである。

  海や河川、湖沼の管理に際し、きちんとした発言と、参画ができるようにならないと、正常な運営、管理が成り立たなくなる。

  しかし、現実、河川護岸はコンクリートで固められ、海辺もまた、埋立地や護岸で固められ、釣り人たちの楽しみの場は、次第に少なくなっている。自然環境の、最も冷静な観察者たる、釣り人の立場から、これに警鐘を鳴らし、世に問いつづける必要がある。

5、  産業排水や廃棄された油のため、川も海も水質は日を追うように悪くなるばかりである。このままでは、日本国内ばかりではなく、この列島の周辺に住む魚たちは、絶滅してしまうのかもしれない。自然環境もまた、破壊され尽くしてしまうにちがいない。我々の子々孫々に至るまで、釣りを伝え残す義務がある。

6、  自然破壊や乱獲に歯止めをかけ、自浄能力を働かせるきっかけを作るのは、釣り人でしかあり得ない。利害損得に関係ない立場から発言し、わたしたちが、釣って、食べて楽しませてもらった魚たち、口のきけない魚たちになりかわって、釣り人が守るしか方法がないのである。

  魚が絶滅する前に、まずやってくるのは、ライセンス制度による海釣りの有料化かもしれない。自由に釣りを楽しむために、或る程度の資格やルールが必要であることは、すでに大半の釣り人が理解している。しかし、いまのような釣り人の位置付けのまま、まるで税金のようなかたちで遊漁料を支払うことには同意できない。

  魚を汚水や乱獲から守り、魚の住み得る環境を守るため、明確な遊漁のための制度が作られるよう、為政者に働きかけよう。その制度は、釣り人の発言と参画によって、釣り人にとって納得できる明解なものでなければならない。

  きたるべき制度の設定と、それ以前に発生するであろう、さまざまな事態に備え、日本のすべての地域、すべてのジャンルの釣り人が、一堂に集まって話し合えるシステムを構築しなければならない。
それが「釣り人の協議会」である。

10 「釣り人の協議会」は釣り人の権利と利益を守り、釣りを健全なレクリエ−ションとして確たる位置付けに置くためのものである

11、 これから釣りについて話をすすめるには、国ばかりではなく、実際に条例、規則を制定する都道府県など地方自治体も重要な役割を果たす、したがって“釣り協”は原則として都道府県単位で組織しなければならない。
そして、各専門分野の釣りクラブ、団体はこれを強力にバックアップしていかなければならない。
釣り協とは、釣りを守るためのある種の政治団体と考えてほしい。

12、 その性格上、一般団体のように、中央で金を集めて、地方にばらまく組織ではない。
地方にいる、釣り人のみんなから、少しずつの浄財を寄せてもらう。
そして自分たちの力を終結して、中央の法律から順にあらためてもらうのである。

13、 それぞれの地方の問題発生に力を貸し、全国のスクラムで応援することはできても、全釣り協がなにかを地方にしてあげられることはない。
存在しつづけ、主張しつづけることによって、釣り人の総意を行政に伝えるための組織である。

14、 そのためには、ぞれぞれの地方で問題意識を持ちつづける必要があり、そのためのシンクタンクが必要だ。
全釣り協は、それらのリーダーたちに、できる限りの資料を伝え、作戦のアドバイスを行うための組織でもある。

15、 釣り協のリーダーたちは、その地位を名誉職と考えることを厳禁する。地域ボスは必要ではない。
ことにあたって、地域の釣り人の総意を体して、行政側に対処する義務を持つ立場であることを忘れてはならない。

16、 釣り協は組織団体の勢力争いの場であってはならない。
釣りが行政の場で認められるようにするための理念団体であって、釣り大会その他の競釣の場ではない。
その種のイベントを行うことは、それぞれのクラブの活動を圧迫する場合がある。

17、 話し合い、釣り人の権利を守り、釣りを自由で健全な形で後世に伝え残すための存在であることを、構成員に理解してもらうことからすべてが始まる。

18、 漁業者と争うことがあってはならない。
魚を獲って生計をたてているのだから、その邪魔をしてはならない。
長い眼で見たとき、魚を守るためには、同じ志を持つ人々であることを忘れてはならない。
そのことを無視して権利を口にすれば、それは最後に魚たちを裏切る結果としかならない。










一般社団法人 全日本釣り団体協議会

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