第五種共同漁業(内水面漁業)に
「増殖義務」+「水産資源の維持管理」
漁業法改訂の検討を提案

 

(社)全日本釣り団体協議会は、2月8日午後2時から、農林水産省特別会議室で開かれた、水産政策審議会資源管理分科会で、下記のように漁業法の第5種共同漁業権の一部改訂について、提案しました。
 
 環境省の特定外来生物被害防止法の特定魚種にオオクチバスその他がリストアップされることについて、会合等が開始されて以後、具体的な運用管理の方法について、まだ話し合いは一切行われていません。
しかし、私たち釣り人の関心は、もともと指定の有無よりも、これから内水面の釣りがどのようになるかという問題にあったはずです。
漁業権魚種に指定されている魚も、そうでない魚も、釣りの対象である魚も、そうでない魚も、人々の営みを含めて、これからの厳しい時代をどうして共存していくかを考えることが、本来の最も大きな関心事であるべきです。このことを、全ての釣り人が真剣に考え、行動することが「自然の中で楽しみを享受させてもらってきた」我々釣り人の義務ではないかと思います。
 内水面の釣りは、現在の漁業法が制定されて五十六年間、増殖義務を根幹とした漁業権によって運営されてきました。しかし、この時点に至り、増殖義務ばかりではなく、すべての水産資源について、維持管理が必要ではないかと考えるに至りました。
そこで、この度、水産政策審議会・資源管理分科会が開催されるのを契機として、漁業法第八章第百二十七条の一部改訂につき、検討いただくよう提案させていたくことにしました。
水産行政、内水面漁業協同組合、釣り人はもとより、広く国民の皆さんにともに「新しい内水面の秩序」について、考えていただきたいと念じています。

 

提案の内容
内水面漁業における増殖義務に関しご検討のお願い
平成17年2月8
水産政策審議会特別委員
(社)全日本釣り団体協議会 専務理事
     來田 仁成
                  
漁業法第八章 内水面漁業第百二十七条(内水面における第五種共同漁業の免許)に記載されている、漁業免許の条件としての「増殖義務」について、内水面漁業が現在おかれている状況に鑑み、一部改訂をご検討いただきたく、お願い申し上げます。

   漁業法 第八章 内水面漁業

(内水面における第五種共同漁業の免許)

第百二十七条  内水面における第五種共同漁業は、当該内水面が水産動植物の増殖に適しており、且つ、当該漁業の免許を受けた者が当該内水面において水産動植物の増殖をする場合でなければ、免許してはならない。

 

(改訂例)  水産資源を増殖する、あるいはその維持管理を行う 場合でなければ、免許してはならない。

(参考)法第百二十七条にいう増殖の範囲について

  人工ふ化放流、種苗または親魚放流、産卵床造成などのような積極的な人為手段により、収穫の目的をもって水産動植物の数及び、個体の量を増加せしめる行為をいい、その場合、人為手段については、養殖のように投餌、曝気等の高度の管理手段を要求するものではないが、単に漁具、漁法、漁期及び漁獲物の制限又は禁止などの消極的な行為に止まるものは含まない。    (昭和38年1月30日水産庁漁政部長)


改訂のご検討をお願いする理由
内水面における遊漁に関連して、水域環境の悪化等にともなう在来魚種の減少、外来魚種の生息域拡大など数多くの問題が発生しております。さらに、カワウ被害、コイヘルペス病、アユ冷水病等の諸原因も加わって、漁業権魚種のみならず、水産資源すべてが大きく減少する危機的な状況に置かれています。ことに湖沼等の止水域では、外来魚種等漁業権魚種以外に生息する魚種の管理については焦眉の問題として、社会的な要求が強まっております。
内水面の漁場管理等に専心してこられた漁業組合等でも、前記の「増殖義務」による管理のみでは困難を伴うとして、環境協力費等さまざまな形態で協力金等を徴収し、既に、水域環境の維持、管理に充当している例は枚挙に暇ありません。
このような実態に鑑み、漁業法第百二十七条において、増殖に加え、維持管理の項を付記していただき、これによって新たな秩序を形成し、漁業協同組合、釣り愛好者が相協力して水産資源の維持、管理に資すため、法の一部改正をご検討いただくよう、お願いする次第です。
外来魚種の生息域が、現在のように秩序なく拡大したことについて、釣り人としては不本意であり、さらにその要因が、釣り人のみに帰される社会的風潮は、善良な釣り人にとっては誠に遺憾な事態です。しかし一方で、釣り人、ことに若い年齢層の対象魚種の価値観も、漁業法が制定された当時と大きく異なってきております。上記のように、現実に則した法の改訂が実施されたとき、釣り人は、漁業組合等の活動に協力し、水産資源の維持や水域環境の保全活動等に対し積極的な役割を果たす所存です。



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