三方五湖(福井県)で外来魚防除に協力
  地元との密接な連携を構築へ
 福井県若狭町、美浜町にまたがる三方五湖がラムサール条約で認められたことを受けて、福井県では本格的な防除対策をとりまとめようとしています。 ()全日本釣り団体協議会では、三方五湖の外来生物の防除に協力できる体制の打診を受けて、以下のような方向を提唱することとしました。
 ●三方五湖の外来生物防除について、釣り人の間に「外来魚がいてはならない場所」として排除の方向を定着させるべく、積極的に周知徹底をはかる。
 ●県や地元と意見調整を行いながら、防除釣り大会、環境保全集会などのイベントを順次開催協力していく。
  釣り上げた外来生物の処理は地元に委託する。
 ●防除やそのための研究、調査を含め、自然環境保全のために限定した経費として、訪れる釣り人に応分の費用負担を求めることも視野に入れ、将来を見据えた外来魚対策のモデルケースとして、地元と密接な連携をとり、意見を交換しながら協力する。
 三方五湖(三方湖、水月湖、菅湖、久々子湖、日向湖)の五つの湖は淡水、汽水、塩水にいたるさまざまな水質を持ち、多様な水生生物が生息しています。
中でも淡水域では、ほかに淀川水系にしかいないとされる「ハス」をはじめ「タモロコ」、「ナガブナ」など、他の水域の同種と異なった体形のものがいることで知られています。ラムサール条約登録面積は五つの湖の全水面約千百十ヘクタールで、こうした貴重な固有魚の生息が国際的登録要件を満たしました。
釣り場としては、チヌ(クロダイ)、スズキ、ハゼ、アジ、サヨリ、など海水の魚をはじめとして、ワカサギ、コイ、フナ、アユ、ハエ(オイカワ)など多様な釣り物で親しまれているほか、付近の海浜ではキス、カレイ、アイナメなどの投げ釣り。磯場ではチヌ、グレ、イシダイ、アオリイカ。船釣りでは、キス、マダイ、ハマチ、チダイ、レンコダイ、メダイスルメイカ、ケンサキイカの基地として京阪神、中京から釣りファンが集まります。
さらに、三方湖に流れ込む蓮川や、美浜の耳川では清流のアユ、オイカワ、渓流のヤマメ、イワナがいます。
こうしたルアー釣りを含めたすべてのジャンルの釣り人が揃って協力できる釣り場は得がたいものであり、これを手始めに自然環境保全と、貴重魚種保存に必要な外来生物排除地域設定のの合意形成ができる絶好の機会ととらえています。
 (社)全日本釣り団体協議会の外来生物に関するスタンスは、外来生物法を遵守するとともに、法で定められた6箇所の防除地域以外でも、既に生息している外来魚類に関して、実情に応じた住み分け、封じ込めが効果的な方法であるとして提唱しています。
その具体的な手法としては、在来の貴重種が生息する場所から順に、地元の意思を基礎として、広く釣り人に協力を求めるとともに、地域や関係研究者と話し合いながら防除対策を講じるというもので、外来生物法を遵守しながら、その主旨達成のために、指定された6箇所ばかりではなく、他の重要在来種生息地域でも、広く釣り人全般に防除の意識を周知徹底させ、そのかたわら、実情に合った秩序を作り上げ、次第に外来生物の生息域を整理整頓していくという現実的な方向です。


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