大阪港の立ち入り禁止条例は
メリハリのある整理が必要
釣り人や市民と協議して明3月には結論へ
平松大阪市長が現場へ視察に
平松邦夫大阪市長が、10月26日午前10時すぎ、大阪北港へ釣りの現場の視察にこられました。現場で報道陣に向けて「大阪港の立ち入り禁止に関しては、全面禁止というのはないだろう。めりはり≠フある整理が必要ではないか。釣り団体などと今後の具体的な方法について相談していく」との主旨のコメントを発表されました。
これで、大阪港の立ち入り禁止問題は、市民(釣り人)の意見を聴取しながら解決するよう方向づけられたわけです。
平松市長の現地視察は、大阪北港の「舞洲シーサイドプロムナード」を釣り場として開放してもらうことを前提として、昨年から大阪市港湾局と相談して、大阪市、(社)全日本釣り団体協議会、(財)日本釣り振興会、NPO法人釣り文化協会が共催して釣獲調査と釣り人のマナー意識調査、釣り場の自然環境調査の「社会実験の第4回釣り大会」が開催されていたのを機会として、大阪港の立ち入り禁止問題を含めて視察にこられたものです。

平松市長は、午前10時過ぎから1時間あまりにわたって、参加している釣り人やファミリーに、さまざまな意見を直接聞いてくれました。
最後に、新聞各社、テレビ各社など報道陣に、現地で約15分かけてインタビューがおこなわれました。
「立ち入り禁止については、全面禁止はふさわしくない、禁止すべき部分と、それぞれの責任でマニアが楽しむことのできる部分、一般市民がファミリーで安全に釣りを楽しむことのできる部分、というようにめりはり≠つけた管理というのを、釣り団体をまじえて相談していきたい」
というのがその主旨でした。

日釣振、全釣り協では、大阪港の立ち入り禁止について、パブリックコメント募集終了直後の9月27日に大阪市の港湾局長あてに意見交換会の開催をお願いして了承されています。また、市の決算委員会でも、民主党、自民党議員から2度にわたってこの問題について質問があり、その際に市長からのコメントとして「市民の要望を重んじての方向で解決を」との方針が示されており、それを裏付けるべく、内容の明確な相互理解への道筋を示す姿勢の、意義深い視察だったと思われます。
しかし、方向が示されたとはいえ、具体的な条件などはこれからの課題であり。すべての釣り人が満足できるかたちになるという断言はできません。
何かを犠牲にすることがあったとしても、港湾施設の中で釣り公園以外の場所で自己責任において釣りをすることが可能になるという最大の目標を果たすことができ、今後、一方的に立ち入り禁止という事態になる前に、まず当事者である釣り人あるいは市民の意見を聞いてからという例を作ることができれば大きな前進ではないかと判断します。
具体的なスケジュールとしては、港湾局側では、10月末現在、1300通に達したパブリックコメントを分析している最中です。
パブリックコメントのほとんどは、立ち入り禁止条例に反対だったそうですが、それぞれ一通に、賛否だけではなく、さまざまな内容の提案が入れ込まれているので、それを分類整理するためには11月末近くまでかかりそうだというのです。
大阪市港湾局では、パブリックコメントの分析が終わる11月末を目標に釣り関係団体との公開の意見交換会を開き、何回か意見交換会を経た後に、外部の学者や一般市民、釣り人を含めた各方面の意見を聴取する会合を開催し、平成21年3月末を目途に結果を出したいという意向です。
全釣り協の考えとしては、まず、条例による場所指定と罰則が不可欠であるかどうか、また場所が指定されるとしても、
(社)全日本釣り団体協議会では、全国で初めての、港湾当局との公式的な公開の協議会開催であるだけに、この問題が全国に波及することないようまた港湾との協議のモデルケースとして、従来触れることのなかった、港湾における管理義務の考え方、港湾と一般市民の関係のありかたなどを含めて整理しておくことも重要なテーマではないかとしていますが、協議会開始までに、(財)日本釣り振興会、大阪府遊漁船協同組合、地元の大阪府釣り団体協議会などと提案事項のとりまとめにあたることにしています。
また今後の対策として、釣り人側の自主的規制の内容について
@ 「管理」の範囲の相互確認、
A 自己責任下において行う釣り場の認識と、今後事故が発生した場合の責任の負い方のケース研究、自己責任の意思表示として及び事故防止のためのライフジャケット着用の義務化
などについて提案するための協議を進めていく方針です。
今回の大阪市長の英断を機会として、釣り人は社会の一員として、ルールを守る集団としての信頼関係を構築していきたいと願っています。
社会実験では、水質調査も行われた |
水潮だったが次々とハネが釣りあげられた |
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